2007.10.2 : 平成19年文教委員会 本文
「障害児教育(特別支援教育)その2」

早坂委員

 東京都特別支援教育推進計画第二次実施計画の骨子案について伺います。
 学校教育法の改正により幼稚園や保育所も支援の対象になりましたが、特に障害児にとっては、乳幼児期の取り組みがその後の成長や発達に大きな影響を与えるものと考えます。今回の第二次実施計画には早期発達支援の連携がしっかりと盛り込まれており、大いに期待をしております。
 そこでまず、乳幼児に対する早期支援について、第一次実施計画での取り組みとその実績について伺います。

〇荒屋特別支援教育推進担当部長

 第一次実施計画では、障害のある子どもが通っていた幼稚園、保育所、障害幼児通園施設などの就学前機関における支援の情報を就学先の学校に引き継ぐ就学支援シートを開発したところでございます。就学支援シートは、保護者と就学前機関の担当者が協力して、子どもの成長、発達、指導、支援等の様子を記入し、就学する学校に引き継ぐものとしたものでございます。
 聴覚障害特別支援学校で実施している早期乳幼児教育相談を充実するため、相談員や医師、臨床心理士、言語聴覚士等の外部の専門家を導入したところでございます。これにより、生まれてすぐに行われる聴力検査で、聴覚障害の疑いあるいは聴覚障害と確定診断された乳児を持つ保護者に対するより専門的な相談が早期に行われるようになりました。

早坂委員

 第一次実施計画では、就学支援シートの開発や聴覚障害乳幼児への支援の充実を実施したということですが、これら第一次計画の成果を踏まえて、第二次実施計画ではどのような早期支援の連携を予定しているのか、伺います。

〇荒屋特別支援教育推進担当部長

 第二次実施計画では、第一次実施計画で開発した就学支援シートのより一層の充実、拡大を図ってまいります。
 発達障害を含む障害のある子どもの早期発見、早期支援のためには、教育、保健、医療、福祉等、関係機関の連携が不可欠でございます。そして、それぞれが持つ情報を共有化し、一人一人の子どもの障害に応じた最も適切な支援を行っていくことが重要であると考えております。第二次実施計画では、関係機関の連携の具体化に向けまして、教育、保健、医療、福祉機関等、関係機関で構成する検討委員会を計画しております。

早坂委員

 教育、保健、医療、福祉などの関係機関との連携を図る検討委員会は、具体的には、どのような構成メンバーによりどのような検討を行うのか、伺います。
〇荒屋特別支援教育推進担当部長

 第二次実施計画では、障害のある子ども一人一人の障害の状態や特性に応じた支援が、障害の発見時点から一貫して受けられるような取り組みを検討する予定でございます。
 この委員会では、情報の共有化など、具体的な連携内容について検討してまいります。構成メンバーといたしましては、保健所、保育所、幼稚園、児童相談所、小学校、特別支援学校の関係者及び都教育委員会並びに区市教育委員会を考えております。このように、教育分野以外の保健、福祉の関係者等が参加する検討委員会は初めての事業でございます。

早坂委員

 これまでは、東京都教育委員会と区市の教育委員会や学校といった連携が中心で、どちらかというと教育関係者同士の連携が主だったと思います。しかし、実際には、教育、福祉、労働など、さまざまな分野との連携が大切です。 その意味で、東京都が昨年十二月に発表した「十年後の東京」で、障害者雇用の三万人以上の増加を目標に掲げていますが、この事業はまさに、これら教育、福祉、労働の各部門の連携を前提とした事業だといえます。第二次実施計画での障害のある乳幼児に対する早期支援についての関係機関との連携も、実効性のある検討が行われることを期待します。
 さて、特別支援教育においては、東京都教育委員会の果たすべき役割は大きいと考えます。第一次実施計画で実施された東京都独自の施策である副籍制度、すなわち、都立の盲・ろう・養護学校に在籍する児童生徒が居住する地域の公立の小中学校にも副次的な籍を持ち、交流を行うことですが、基本的には各区市町村が主体的に取り組むべき事業ではあります。しかしながら、地域によってその取り組みに差が出ている場合には、東京都教育委員会が何らかのアドバイスなどをすべきと考えます。
 例えば、他の区市の取り組み事例などを紹介するなどが考えられますし、また、小中学校における特別支援教育の推進役となるコーディネーターの養成研修についても、東京都教育委員会が講師を派遣するなど、その育成を応援すべきであります。この二点につきましては、第二次実施計画でも継続して取り組まれるようお願いをいたします。
 次に、我が杉並区の特別支援学校、都立永福学園について伺います。
 今後、肢体不自由教育部門が設置されますが、設置に伴い、通学区域が変更されることによって転校しなくてはならない児童生徒が出てきます。まだ通学区域が発表されていないので、保護者はとても不安に思っています。該当する地域の保護者にはいつごろ周知するのか、また経過期間などの措置はとられるのか、伺います。

〇荒屋特別支援教育推進担当部長

 通学区域変更に伴う経過措置期間の設定につきましては、特に考えてはおりませんけれども、委員ご指摘のとおり、肢体不自由教育部門の設置に伴う通学区域の変更については、該当する保護者の理解を十分に求めることが重要であり、年内を目途に周知する予定でございます。

早坂委員

 改正された学校教育法が四月に施行され、障害種別を超えた特別支援学校の設置が可能となりました。 永福学園は、平成二十一年度になりますと、肢体不自由教育部門が新たに設置され、知的障害教育部門と肢体不自由教育部門を併置する学校になります。両部門を併置するに当たり、永福学園では新しい取り組みを計画しているのか、伺います。

〇荒屋特別支援教育推進担当部長

 肢体不自由の生徒が、企業就労を目指す就業技術科の生徒の食品コースや福祉コースの校内実習に参加し、コーヒーショップを利用したり、車いす介護のアドバイスをしたりするなど、障害種別を超えた生徒間の交流の場を新たに設け、自立と社会参加に向けた意欲や態度の向上を図ってまいります。
 また、肢体不自由の生徒が就業技術科において行われている事務・情報処理の実習が受けられるようにするなど、企業就労を視野に入れた肢体不自由教育部門の職業教育の新たな取り組みを行ってまいります。

早坂委員

 第二次実施計画での、広く都民に対し特別支援教育や発達障害を含む障害について理解、啓発する新しい取り組みについて伺います。
〇荒屋特別支援教育推進担当部長

 第二次実施計画では、平成二十年度から新たに特別支援教育の理解と充実に関する説明会等を年三回開催していく計画でございます。
 特に、十二月三日から九日までの障害者週間におきましては、障害理解推進シンポジウム(仮称)を開催しまして、地域住民や広く社会に向けまして、特別支援学校等の児童生徒の弁論大会や演技等の発表、障害への見識がある方々のシンポジウムなどを実施していく計画でございます。
 また、理解、啓発の一環として、特別支援学校の生徒が作業学習等で製作した物品を販売するフリーマーケット等についても、順次実施していく計画でございます。