2006.11.02 : 平成18年文教委員会 本文
「必修科目の未履修(私立学校)」
◯早坂委員
高等学校における必修科目の未履修問題についてお伺いいたします。
文部科学省の発表によると、全国で五百四十校、八万三千人を超える生徒が何らかの履修漏れがある状況だといわれています。まず、東京都内の私立学校についての状況をお伺いいたします。
◯新行内私学部長
東京の私立高等学校におきまして、教育課程に不適切な事例が見られたものは、全日制、定時制合わせた二百三十六校中十一校、生徒数で五万八千五百六人中千八百六十二人でございます。
◯早坂委員
各種報道によると、履修漏れがあった十一校のうち、事前に生活文化局に届け出た学則自体に間違いがあったところがあるということですが、この事実関係についてお伺いいたします。
◯新行内私学部長
私立学校の教育課程につきましては、学習指導要領に基づき各学校の学則で定めることとなります。これを変更する場合は、学則を所轄庁である生活文化局に届け出ることになっております。生活文化局では、届け出があった学校につきまして、学習指導要領に適合しているかを確認しております。
今回不適切だった十一校のうち十校については、学則に定めたとおりの教育が行われず履修漏れが生じたものでございまして、他の一校につきましては、学習指導要領に適合しない学則の届け出があり、それを私ども私学部での確認の際にミスがあったものでございます。大変申しわけありませんでした。
◯早坂委員
教育課程の変更の届け出に対して、東京都はその内容確認に手抜かりがあったということだと思います。今回の事態を受け、生活文化局としては、今後、学則の確認をどうするのかお伺いいたします。
また、履修漏れのあった十一校に対してどのように対応するのか、あわせて伺います。
◯新行内私学部長
まず、学則が学習指導要領に適合しているかどうかの確認についての対応でございますが、今後、学校が教育課程を変更する際に、必ず事前に相談することとし、詳細につきましては確認しながら変更の届け出を実施することといたします。
また、不適切な事象があった十一校に対してでございますが、今回の問題についての国からの対応策を踏まえまして、都の方針といたしましては、一つ、生徒、保護者等に不安や混乱を生じさせないため、適切な説明等を行うよう、各私立高等学校に対して指導を行っていく。二つ目、履修不足等の問題については、学習指導要領に基づいた履修を確保するため適切な対応をとるよう指導を行っていく。三つ目として、各私立学校が学習指導要領に基づき適切な教育課程を実施するよう指導を徹底する。こうしたことをする予定でございます。
◯早坂委員
この履修漏れ問題は、生徒にルールを守ることを教えるべき学校自体がルールを犯したという側面、それを東京都が見逃したという側面、今ごろから補習を受けさせられると受験勉強の時間がなくなってしまうという側面、この三つの側面のほかに、生徒の側からは、本来受けられるはずの教育内容を受けることができなかったという権利侵害の主張も私は成り立つんだろうというふうに思います。
文部科学省の定めた学習指導要領に対して、実際には裁量権がないので、私学に対しても公立学校に対しても、自治体ができることは、学習指導要領に従うようにと指導することだけだと思います。したがって、この問題を受けて履修にかえてのレポート提出といったような救済策は国が決めることであって、自治体にその権限はありません。
私立学校はこれまで、それぞれの建学精神に基づき、生徒一人一人を尊重し、すばらしい人間教育を行ってきました。履修漏れがあった各学校がその内容を是正するのは当然のことですが、行政としてもそのような私立学校のよさを生かし、今後トラブルが起きないように、しっかりとその指導、つまり応援をしていただくようお願いいたします。
この問題全般について局長のご見解を伺います。
◯渡辺生活文化局長
大変恐縮でございますが、早坂委員のご質問に答弁する前に、先ほどの大山委員のご質問に関連いたしまして、家庭科の高校での必修の開始の年次でございますが、平成十年と私発言をいたしましたが、確認したところ平成六年で、四年ほど前、平成六年に必修になっておりました。おわびして訂正を申し上げます。
次に早坂委員のご質問にご答弁申し上げます。
今回の件でございますが、学習指導要領に適合しない学則の届け出について生活文化局において確認のミスがございました。大変申しわけなく思っております。おわびを申し上げます。
一方、私立学校におきましては、委員ご指摘のとおり、それぞれの学校の自主性に基づき非常にすぐれた教育あるいは特色のある教育を多数行っております。それらを生かすためにも、今後このようなことがないようにしっかりと対応してまいります。