2006.03.20 : 平成18年厚生委員会 本文
「子ども家庭総合センター」

早坂委員 

 子ども家庭総合センターについてお伺いいたします。
 現在の子どもと家庭をめぐる相談の現状を見ていますと、都市化、核家族化の進行に伴う子育て家庭の孤立感や負担感の増大を背景として、関係機関に寄せられる育児不安や児童虐待に関する相談は年々件数が増加するとともに、その内容も深刻さが増す一方になっています。児童相談所における虐待相談の件数を見てみますと、この十年間で十四倍にも膨れ上がり、虐待者の八割以上は実父母であるという結果も報告されています。また、非行相談の件数も同様に増加の一途をたどっていますが、非行児童の約二五%が幼いころに虐待された経験を持つなど、子どもの非行問題は、親の不適切な養育態度が大きな要因となっていることが近年指摘されているところであります。
 このような児童虐待や非行などの問題を解決するためには、子どもだけではなく、親への指導、支援を一体的、総合的に実施する体制の整備が喫緊の課題となっており、こうした観点からも、東京都が本年一月にまとめた子ども家庭総合センター基本構想は重要な意味を持つものであると考えます。
 そこで、この基本構想で掲げている三つの相談機関は具体的にどのような相談に対応しているのか、お伺いいたします。

◯都留少子社会対策部長 

 児童相談センターは、児童福祉法及び東京都児童相談所条例に基づき設置された機関でございます。児童福祉司、児童心理司、医師などの専門スタッフが、十八歳未満の子どもに関するあらゆる相談に対応しております。相談内容は、虐待、養育困難などの養護相談、非行相談、不登校などの育成相談などであり、専門的な角度から総合的に診断、判定し、それに基づいた援助方針により子どもへの援助を行っております。
 教育相談センターは、東京都教育相談センター設置条例に基づいて設置され、教育相談員や心理職などの専門スタッフが、いじめ、体罰、不登校などの相談や、進路や就学などの相談に対応しております。
 少年相談室、少年センターは、警視庁組織規則などに基づいて設置され、警察官や心理職などの専門スタッフが、子どもの非行などの問題で悩んでいる保護者などや、いじめや犯罪等の被害に遭い精神的ショックを受けている少年などの相談、ケアを行っております。

早坂委員

 では、福祉保健局、教育庁、警視庁の三機関を子ども家庭総合センターに集約することによって具体的にどのようなメリットが生じるのか、お伺いいたします。

◯都留少子社会対策部長 

 仮称でございますが、子ども家庭総合センターは、福祉保健、教育、警察の各相談機関がそれぞれ専門性を発揮するとともに、連携を一層強化し、子どもと家庭を総合的に支援する拠点として整備するものでございます。三つの機関が連携して相談支援を行うことで、まず、子どもに関するあらゆる相談に対してワンストップの対応が可能となること、次に、チームで協働してケースの見立てを行うことで総合的な援助方針を立てることができることなどのメリットが生まれると考えております。

早坂委員

 区市町村にも相談窓口が現在設置されています。東京都と区市町村との役割分担、そして子ども家庭総合センターに期待される役割についてお伺いいたします。

◯都留少子社会対策部長 

 平成十七年四月に施行された改正児童福祉法では、区市町村は子どもの相談に応じる第一義的な窓口、都は専門的な知識及び技術を必要とする事例への対応や区市町村の後方支援という役割を担うこととされております。
 都は、住民に身近な地域による相談支援体制の構築を目指し、これ以前から区市町村の子ども家庭支援センターの設置を進めてまいりました。あわせて、区市町村職員の資質向上を図るため、相談援助技術に関する研修や児童福祉司業務の体験など、さまざまな支援を行っております。
 子ども家庭総合センター(仮称)では、こうした取り組みをさらに進め、区市町村職員に対する研修の充実を図るとともに、各区市町村における子育て相談の仕組みづくりをチームで支援していくなど、地域支援の機能を充実させてまいります。

早坂委員

 積極的な取り組みを期待いたしますが、複雑さ、深刻さを増す子どもと家庭の問題を解決するためには、三つの機関が同じ建物に入ったという形だけの対応に終わってはなりません。せっかくこのような機関を整備するのであれば、連携のメリットが十分生かされるよう、ハード面、ソフト面からしっかりしたものをつくっていくことが必要だと考えます。ぜひ総合の名に恥じない機関になることをお願いいたします。