2011.02.25 : 平成23年度予算特別委員会
「太陽熱利用」

早坂委員 

 次に、太陽エネルギーについて伺います。
 温暖化や化石燃料の枯渇など、地球環境問題は今日の大きな課題であります。その環境対策の一つに太陽エネルギーの活用があります。その利用方法は大きく二つ、太陽光と太陽熱です。また、太陽の熱で暖められた大気熱の活用も注目されています。
 一つ目の太陽光は、太陽の光を、半導体を利用して電気エネルギーに転換し発電するものです。平成二十二年、昨年の第四回定例会の一般質問で、私は、都営住宅の建てかえの際に太陽光発電の屋上設置が標準仕様になっていることを取り上げ、建てかえのみならず、これを既存の都営住宅七千棟にも設置していくよう求め、現在、その計画が進展しています。二年前のデータでは、東京都内での太陽光発電の導入は五年間で五倍と急激に伸びています。
 二つ目の太陽熱は、太陽の熱で水を温め、その熱利用を行うという、仕組みとしては至極簡単なものであります。家庭でのエネルギー消費の半分以上が暖房、給湯といった熱需要であり、また、太陽光発電に比べ、導入コストや設置面積が半分以下という大きなメリットがあります。また、エネルギーの変換効率が、太陽光発電は一〇%程度なのに対し、太陽熱利用はその四、五倍ということも、今回、太陽熱利用が注目されている理由です。
 ここで、太陽熱利用システムの普及の歴史を振り返ってみると、第二次オイルショック後の一九八〇年代に全国的な普及が進みました。では、今日の太陽熱利用の普及状況と、これまでの東京都の取り組みについて伺います。

◯大野環境局長 

 ご指摘のとおり、太陽熱機器は第二次オイルショック後の一九八〇年に全国で八十三万台を販売したのをピークに普及が進みました。しかしながら、その後、石油価格の下落やメンテナンスの不十分さなどの問題が生じまして、大幅に減少いたしました。ここ十年余りは、石油価格が再び上昇したにもかかわらず、一たん縮小した太陽熱の普及が回復せず、年間五万台から六万台という低い水準にとどまっております。
 こうした太陽熱市場の再活性化に向けまして、東京都は、機器の品質認定制度やグリーン熱証書制度の創設など導入拡大のための基盤整備を進めるとともに、機器メーカーにも、製品開発やデザイン性の向上、価格の見直しなどを働きかけてまいりました。
 こうした取り組みを受けまして、昨年二月にはマンションのバルコニーに設置する新しいタイプの製品が市場へ投入されるなど、太陽熱機器メーカーの取り組みは活発になってきておりまして、太陽熱市場の再生への展望がようやく切り開かれつつあると認識しております。

早坂委員

 先ほど申しましたとおり、エネルギーの変換効率の観点からも太陽熱利用の再評価が行われてしかるべきと考えます。
 今般、東京都は、太陽熱利用に関する新たな補助事業を予算案に計上しています。これは従前の補助事業とは異なり、新築の集合住宅を対象に、個人ではなくディベロッパーやハウスメーカーなどへの補助となっています。
 そこで、なぜ新築の集合住宅なのか、なぜ個人ではなく住宅供給事業者への補助なのか、その考え方について伺います。

◯大野環境局長 

 現在の太陽熱機器の需要は、既存の住宅におけます買いかえによるものがほとんどでございます。太陽熱利用の本格的な普及に向けました新しいうねりをつくり出していくためには、新築住宅の建設に合わせた設置を進めることが効果的であると考えております。
 東京におきましては、新築住宅の約七割は集合住宅が占めていることから、今回の補助制度は集合住宅を主なターゲットとしております。また、新築マンション等への太陽熱利用機器の導入をエネルギー効率の高いものとするためには、設計の早い段階から建築計画に組み込むことが必要でございますので、これを可能とするために、住宅供給事業者に直接補助を行うこととしたものでございます。

早坂委員

 つい先月には、東京都の主催で太陽熱テイクオフ大会が開催されました。その内容について伺います。

◯大野環境局長 

 先月末に開催しました太陽熱テイクオフ大会では、都と住宅メーカー、太陽熱機器メーカー等事業者とが、太陽熱の普及拡大に向けて連携していくことを確認いたしました。
 具体的に申し上げますと、太陽熱機器メーカー主要五社から、五年後の目標としまして、昨年度の都内の販売数の六倍以上に当たります四千五百台の販売を目指すことや、機器の価格を半減させることなどの意欲的な宣言が打ち出されました。
 都は、本年夏前には今回の大会に参加しました住宅メーカーや太陽熱メーカー等とともに太陽熱利用促進協議会を立ち上げる予定でございます。これらのメーカーとともに新たな製品開発の促進や機器の普及を進めまして、本格的な太陽熱利用を東京から実現してまいりたいと思っております。

早坂委員

 当日の資料を拝見すると、太陽熱テイクオフ大会では、ご答弁の内容以外にも元気のいい議論がたくさん出されたようです。例えば、太陽光、太陽熱を車の両輪として、日本の住宅の屋根すべてを太陽エネルギーで埋め尽くすとか、太陽熱給湯の導入で二〇一一年からは省エネ足す創エネなど、大会の熱が感じられるようです。ここしばらく足踏みをしていた太陽熱利用のてこ入れも含め、太陽エネルギーの活用に東京都が大きな役割を果たすことを期待いたします。