2009.09.15 :平成21年第3回定例会
「新型インフル患者の救急搬送」
◯早坂委員
次に、新型インフルエンザ患者の救急搬送について伺います。
都内における救急車は、昨年、平成二十年度には、およそ六十万人の傷病者を医療機関に搬送しています。
多くの病人やけが人を搬送する救急車が、新型インフルエンザの流行期において、インフルエンザ感染の有無が未確認の人を意図せず搬送することも考えられます。
狭い救急車内において患者に密接した救急活動を行う救急隊員は、何の対策も講じなければ、非常に高い罹患の可能性があることは否めません。救急隊員の感染を防止し、新型インフルエンザの流行期においても、救急車の活動を確保することは極めて重要であります。
先般、厚生労働省は、新型インフルエンザのワクチン接種についての素案を発表しました。その中では、優先接種対象者の第一優先として、救急隊員を含む医療従事者が考えられています。
しかしながら、予防接種により、一〇〇%の感染防止、流行阻止が保障されるものではありませんから、予防接種だけでなく、複数の対策を実施すべきであります。
また、救急車は、毎日、何人もの患者や同乗者が利用します。こうした人々が、救急車内を媒介にして感染する可能性も否定できません。救急車を利用した人々への感染拡大の防止も重要な課題です。
そこで、東京消防庁では、救急活動における新型インフルエンザ感染防止として、どのような対策を講じているのか伺います。
厚生労働省から示された新型インフルエンザの流行シナリオによれば、新型インフルエンザに感染し、かつ発症する確率は、通常のインフルエンザの二倍であり、国民全体の二〇%から三〇%の発症を見込んでいます。さらに、都市部では発症率がより高くなる可能性も指摘されています。都内において新型インフルエンザの患者数がふえれば、救急搬送の要請もふえるだろうと想定されます。
そこで、感染拡大の懸念が高まっている中、新型インフルエンザ流行期における救急車出動要請増加への対応体制と、救急活動の感染防止策の準備状況について伺います。
ありがとうございました。(拍手)
〔消防総監新井雄治君登壇〕
〇消防総監(新井雄治君)
救急活動における新型インフルエンザ対策に関する二点の質問にお答えをいたします。
初めに、新型インフルエンザ感染防止対策についてでありますが、救急活動における感染防止対策は大変重要であると認識しております。
このため、当庁では、平素からの感染防止対策に加え、新型インフルエンザの特性を踏まえまして、すべての救急活動にゴーグル並びにN95マスクを携行し、新型インフルエンザが疑われる傷病者で、激しいせき症状を呈している場合や、器具を用いた気道確保などの感染危険が増大する救急処置を行う場合には、直ちに着装することとしております。
また、新型インフルエンザが疑われる傷病者とその同乗者に対しましては、サージカルマスクを着用していただき、感染防止の徹底を図っております。
さらに、搬送後におきましては、救急車内及び使用資器材の消毒を確実に実施するなど、救急活動における感染防止対策の万全を期しております。
次に、新型インフルエンザ流行期における救急活動についてでありますが、当庁では、増大が予想される救急要請への対応といたしまして、一一九番通報受信体制の強化、非常用救急隊の編成、高機能な新型感染防止衣の導入などにより、活動の万全を期することとしております。
また、救急活動に必要な感染防止用資器材といたしまして、本年九月現在、N95マスク五十八万枚、消毒薬六万八千本などを備蓄しており、さらに計画的に整備を進めているところであります。
今後とも、総合的な感染防止対策の徹底を図ってまいります。