2012.10.05 : 平成24年防災対策特別委員会
「高度防災都市づくりの実現」
◯早坂委員
さて、東日本大震災では、JRが早々に駅のシャッターを閉めてしまい、行き場を失った数多くの帰宅困難者が発生いたしました。一方で、六本木ヒルズでは、大規模な吹き抜け空間に多くの帰宅困難者を安全、快適に受け入れたことが社会から大きな評価を受けています。
帰宅困難者の受け入れで考えるべきは、単なる広場でなく空間にあると思います。すなわち、雨風をしのぐのみならず、夏の暑さと冬の寒さをどう防ぐか、避難者のトイレや照明をどうするかなどの観点が必要だからです。六本木ヒルズでいえば、自家発電設備が有効に働き、テナント企業の業務に支障がなかったこともマスコミで盛んに報じられました。
これまで、都市開発というと、利便性、快適性の向上のためという印象がありました。しかし、今日では、防災面から、事業継続や地域住民の安全確保という役割を果たす上でも重要だと認識されています。このことは、東京の信用力や国際競争力の向上にもつながります。
そこで、都市開発あるいは都心の機能更新が、防災という観点からどのような成果が期待されるか伺います。
◯飯尾都市整備局長
東日本大震災におきましては、都内でも強い揺れを経験いたしましたけれども、機能更新を進めてまいりました都心の再開発地区では、ビルの被害がほとんどなかったことが確認されております。
特に、六本木ヒルズを初め、東京駅前の新丸ビルや銀座三越などでは、災害時に、耐震性の高い大規模な室内空間に多数の帰宅困難者を安全、快適に受け入れたところでございます。
また、都市開発を行い、自家発電設備を導入したビルは、震災後、特に海外企業などの入居選択に優位であると事業者からも聞いております。
こうしたことから、都市再生を推進することは、国際競争力の強化はもとより、防災対応力の向上の面でも非常に効果が大きいと認識しております。
◯早坂委員
東京駅周辺などの都市開発が進んでいる地区では、帰宅困難者にも十分対応できたというご答弁でありました。
ことしの建築基準法の関連法令の改正により、防災用備蓄倉庫や自家発電設備を設ける部分は、容積率に算入されなくなりました。このような法改正を開発に反映させて、安全な都市をつくっていくことが重要です。
こういった都市開発における防災面での成果を、今後の都市づくりに波及させるべきと考えます。ご見解を伺います。
◯飯尾都市整備局長
お話の法改正の趣旨も踏まえまして、都心の機能更新を進めていきたいと考えております。例えば渋谷駅周辺では、老朽化した駅舎と周辺の地域を一体的に開発いたしまして、防災機能を高めていくよう民間開発を誘導しております。
また、都有地を活用した竹芝地区都市再生ステップアッププロジェクトにおきましては、防災対応力を備えた開発とともに、エリアマネジメント活動による地域全体の防災性向上を図ることを条件に事業者を募集しております。
今後とも、中枢業務の事業継続はもとより、震災時に安全、快適に人を受け入れることができる都市開発を積極的に誘導し、高度防災都市づくりの実現を図ってまいります。