2006.11.02 : 平成18年文教委員会 本文
「防災語学ボランティア」

早坂委員 

 防災(語学)ボランティア制度について伺います。
 平成十六年十月に起きた新潟県中越地震では、外国人が言葉の壁により避難場所がわからないなど、一時的な情報不足によって混乱孤立し、トラブルとなるケースがありました。東京都は、阪神・淡路大震災を契機として、平成八年に防災(語学)ボランティア制度を創設し、災害時に外国人を支援する仕組みづくりを行ったところでありますが、制度開始から十年が経過し、都内における外国人登録者の数も十年前の約二十五万人から約三十五万人と十万人も増加するなど、防災(語学)ボランティアの役割はますます重要なものになっています。
 まず、この防災(語学)ボランティア制度の概要についてお伺いいたします。

◯和田都民生活部長 

 東京都の防災(語学)ボランティア制度は、都内に大規模な災害が起こった際に、被災地の避難所や病院などさまざまな相談窓口において被災外国人等を支援するため、事前に一定以上の語学力を有する都民や外国人の方にボランティアとして登録をしていただく仕組みでございます。

早坂委員
 それでは、これまでの防災(語学)ボランティアの活動状況や現行の制度の課題などについてお伺いいたします。
◯和田都民生活部長 

 幸いなことに、これまで東京におきましては災害時の出動は行われておりませんが、平常時から防災の意識や知識を持っていただくための訓練や研修等に参加をいただいております。しかしながら、委員のお話にもございましたように、制度開始から既に十年が経過をいたしまして、在住外国人の方も、数も増加いたしましたし、また、使用されている言語も多様化してきておりますことから、現行の制度を一部見直す必要性が生じてまいりました。
 そこで今回、研修制度や電子メール等による機動的な連絡体制など、制度の仕組みを一層実践的に見直すこととし、本年度から新たにボランティアの募集を行っているところでございます。
 今回の新たな募集における登録言語数は、英語、中国語、韓国・朝鮮語など、現段階では十五言語でございますが、今後そのほかの少数言語につきましても、登録数を一層ふやすように努めていきたいと考えております。

早坂委員

 防災(語学)ボランティアが実際に活動する場合には、現在は、名前と対応言語、顔写真が入った登録証を首からぶら下げることになっています。
 今後は、外国人から見て一目で防災(語学)ボランティアであると認識できるような、例えば専用のジャンパーや腕章の配布がより有効だと思います。ご見解を伺います。

◯和田都民生活部長 

 ご指摘のように、現在の防災(語学)ボランティアは、名前と、対応する言語、そして顔写真が入った首かけ式の登録証を携行することになっております。
 しかしながら、今ご提案にございますように、災害時の混乱の中でも外国人に対して一層わかりやすい形で活動するということは大変重要なことでございますので、ご指摘のありましたジャンパーや腕章の作成も含め、今後検討してまいりたいと考えております。

早坂委員 

 最近では区市などの地域の外国語ボランティア制度も充実してきており、地域においてさまざまな活動を行っております。
 そこで、東京都の防災(語学)ボランティアも、地域の外国語ボランティアとの連携を進めていくべきだと考えます。ご見解を伺います。

◯和田都民生活部長 

 現在、私どもの防災(語学)ボランティアの平常時の活動は、災害を想定した訓練や研修等が中心でございまして、一方、地域の外国語ボランティアは、区市等の外国人相談や国際交流のイベントなどの通訳、翻訳が中心となっております。
 これまでも、私どもといたしましては、都と区市町村の国際交流推進会議等を通じまして相互の情報交換を行ってまいりましたが、今後はさらに災害時を想定した訓練や研修等を通じまして、都の防災(語学)ボランティアと地域の外国語ボランティアとの連携を一層強化してまいりたいと考えております。

早坂委員 

 災害時のボランティア活動も重要ですが、これとあわせて、災害が起きていない常日ごろから外国人に対して防災知識の普及や情報提供などを行っていくことも重要であります。ご見解を伺います。

◯和田都民生活部長 

 本年度の重点事業でございます外国人に対する防災情報提供対策の強化の一環といたしまして、インターネットによる防災情報の多言語化や外国人旅行者向けリーフレットの作成、そして外国人向けの防災DVDの作成などを行い、情報提供の強化を図っているところでございます。

早坂委員 

 切迫する首都直下地震など、都内で大規模な災害が発生した場合、多くの外国人が混乱に陥る状況が予想されます。これに備えるため、外国人を初めとする災害時要援護者への情報提供について、今後一層施策の充実を図っていただくようお願いいたします。