2012.10.05 : 平成24年防災対策特別委員会
「東京の二つの大火災(関東大震災・東京大空襲)の教訓と復興記念館」

早坂委員 

 首都直下地震の被害想定によると、最悪の場合、九千七百人の死者が発生するとされています。その四割が火災による焼死であることをかんがみれば、火災対策の充実が、首都直下地震から命を守るための重要なポイントであります。
 歴史を振り返れば、我が東京は、ここ百年のうち二度の大火災に見舞われています。その一つは八十九年前、大正十二年関東大震災であり、もう一つは六十七年前、昭和二十年東京大空襲です。どちらも一日ないし二日間で十万人を超える焼死者を出す結果となりました。
 当時の記録を見ると、余りのおぞましさに胸が悪くなるような思いがいたします。東日本大震災は千年に一度といわれましたが、関東大震災も東京大空襲も、わずか百年足らずの出来事です。もう二度とこのような大火災を起こしてはなりません。
 墨田区にある江戸東京博物館のほど近くに横網町公園があり、この二つの大火災に対する慰霊堂と復興記念館が設置をされています。貴重な資料が所蔵されているにもかかわらず、近年まで十分な整理がなされていなかったこともあり、ここを訪れる人は多くはありません。現地を訪ねてみると、展示物に対する解説が乏しく、それゆえに、二つの大火災がどのようなものであったのか、あるいは、そこから学ぶべき教訓が何なのかがわかりにくいと感じました。
 首都直下地震の発生が切迫する今日、関東大震災、東京大空襲の二つの大火災を改めて見直すことが必要であります。
 そこで、横網町公園の管理者である東京都は、復興記念館の展示についてどのように考えているのか伺います。

◯村尾東京都技監

 横網町公園の復興記念館には、関東大震災や東京大空襲による火災の熱で変形した懐中時計などの遺品を初め、炎に巻かれる人々を描いた絵画や写真、図表などを展示しております。これら二つの大火災がもたらした被害の状況、そこから学ぶべき教訓や復興に向けての歩みなど、都民にわかりやすい展示とするため、都は、指定管理者である公益財団法人東京都慰霊協会とともに検討会を立ち上げました。
 具体的には、展示品の充実、解説板の設置、展示室のレイアウト、順路などにつきまして見直しを行う予定でございます。
 なお、来年は関東大震災から九十年でございまして、九月一日には記念事業を実施する予定でございます。
 こうした取り組みにより、多くの来館者を迎え、関東大震災などの惨事を後世に伝えるとともに、都民の防災意識を高める記念館としてまいります。