2009.09.15 :平成21年第3回定例会
「土砂災害対策」
◯早坂委員
次に、土砂災害防止対策について伺います。
都内には、土砂災害が発生するおそれのある危険な箇所が多数あり、東京都はこれまでも、急傾斜地崩壊対策事業や砂防事業などを行っています。しかし、土砂災害の危険がある箇所すべてでハード対策を行うことは、時間的にも費用的にも困難であります。
こうした状況のもと、被害を軽減するため、東京都は土砂災害防止法に基づき、土砂災害警戒区域の指定を進めていますが、現在までにどれぐらい指定したのか、また、今後の見通しについて伺います。
本年七月、山口県防府市では、土石流により、特別養護老人ホームの一階が土砂で埋まり、入所者七名が死亡しました。
社会福祉施設は、比較的大きな土地を必要とし、建設に当たっては地域住民との調整も必要であるという事情もあり、地域住民の少ない山間地や、急峻な地形のところに建てられる場合が少なくないようであります。
施設の管理者は、立地などの特徴を十分に理解し、日ごろより職員や利用者の防災意識を高めるとともに、被害が予想される場合には、早目の適切な避難行動が求められます。そのためには、住民に身近な基礎的自治体である区市町村の取り組みが重要であります。
そこで、現在、都内の土砂災害の危険がある区域に存在する社会福祉施設などの入所者の安全確保のために、東京都は区市町村を支援すべきと考えます。ご見解を伺います。
〔東京都技監道家孝行君登壇〕
〇東京都技監(道家孝行君)
土砂災害警戒区域の指定についてのご質問にお答えいたします。
土砂災害から都民の命を守るためには、土砂災害の危険性を都民に周知するとともに、避難体制の基礎となります土砂災害警戒区域の指定を進めることが重要でございます。
指定に当たりましては、現地調査などにより詳細な区域案を作成した後、住民の皆様の理解と協力を得るために、地元自治体とともに町会ごとにきめ細かな説明を行っております。このため、調査から指定までにおおむね三年を要します。
都は平成十七年度から、土砂災害の危険箇所が多い西多摩地域から区域指定を進めておりまして、これまでに六百八十三カ所の指定を完了しております。
二十一年度は、区域指定のスピードアップを図るため、事業の推進体制を拡充しまして、既に約四百カ所分の地元説明を終えており、これまでに指定した数の倍に当たる約千二百カ所を指定していく予定でございます。
引き続き、八王子市や町田市など、指定する地域を順次拡大しまして、二十六年度に都内約八千カ所の区域指定の完了を目指してまいります。
今後とも、地元自治体と連携して土砂災害警戒区域の指定を推進し、都民の安全確保に努めてまいります。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
〇福祉保健局長(安藤立美君)
土砂災害警戒区域等の施設入所者の安全確保についてでありますが、都内の警戒区域に存在する社会福祉施設等は十一施設ございます。
都は、今回の防府市における事故後、速やかにこれら十一施設に対して個別に連絡し、入所者の安全確保に努めるよう、改めて要請をいたしました。
また、地元市におきましても、指定された警戒区域や土砂災害の起こる可能性がある地域の施設に対し、説明会を開催するなど、きめ細かな取り組みを行っている例もございます。
今後、関係局とも連携し、風水害時における施設入所者の安全確保が図られるよう、区市町村に対する支援を検討してまいります。