2014.03.05 : 平成26年_第1回定例会
「先進的防災技術実用化支援事業」

早坂委員

 次に、防災について伺います。
 災害に強い都市をつくるためには、民間の知恵や技術を活用することが不可欠です。都内の中小企業の中には、高い技術やノウハウを生かして、遠隔操作型の救助ロボットなど、新たな製品開発に取り組む動きもあります。また、大学や研究機関ではさまざまな研究が進んでいます。
 今回の補正予算では、先進的防災技術実用化支援事業が目を引くところですが、その具体的内容について伺います。
 さて、ことしの冬では、二週間続けての大雪が記憶に新しいところです。降雪が二回とも土曜日だったこともあり、幾つもの学校で休校の判断がなされました。
 二回目の大雪の日、都立学校に通う息子は、交通機関のおくれを見越して、いつもより早目に登校しました。しかし、休校を知らせる電話連絡網が同級生のお母さんから回ってきたのは、息子が出かけたはるか後、授業開始のわずか十分前でした。さらに、授業開始から二時間後に、PTAからのメールで休校のお知らせが届きました。
 問題は幾つもありますが、ここでは二つだけ取り上げます。
 一つ目は、休校の判断が遅かったのではないかということです。
 学校を休校にするのは、登校の際に生徒の安全が確保できないからです。であるならば、その決定を急ぎ、かつ周知させなければ、生徒が登校してきてしまう。今回の判断のタイミングでは、そうした休校にする意義を失わせるものだったといわざるを得ません。
 二つ目は、連絡手段です。
 もはや高校生の九割以上が携帯電話を持つ時代に、どうして何十年も変わらない方法で、家に電話連絡網を回すのでしょうか。学校が保護者と生徒の両方に携帯メールを送るなど、ありとあらゆる手段を使って、決定を周知する手だてを尽くすべきです。
 三年前の東日本大震災では、多くの児童生徒が犠牲となりました。学校の裏には小高い山があるにもかかわらず、地震発生後、五十分間も児童たちを校庭に待機させ、その結果、全校児童の七割、七十四人が津波に巻き込まれ死亡した宮城県石巻市立大川小学校の悲劇は、教員の判断のおくれによる人災だったとも指摘されています。
 とっさの判断が子供たちの生死を分けるというのが、私たちが東日本大震災から学んだ教訓であったはずです。
 四十五年ぶりの大雪という想像を超える状況であったことは、個人としてはわかります。ですが、それは大雪も津波も同じこと。ある場面に遭遇した場合に、それを危機だと知らせる警報が、とっさにその人の頭の中に鳴り響くのかどうか、それこそが問われているのです。
 防災とは、災害が発生した後の迅速な復旧、復興のことではありません。防災とは、そもそもの被害を最小限に抑えることだと私は信じています。そのことを考える上で、今回の大雪は貴重な経験となりました。
 その観点から、都立学校における災害時の危機管理を今後どう考えるのか伺います。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君)

 都立学校における危機管理についてでありますが、災害や異常気象の際、学校長は、警戒警報の有無や交通機関の状況などのさまざまな情報を踏まえ、授業を予定どおり行うか否かを決定し、速やかに周知する必要があります。
 先月十五日の大雪では、学校長等による交通機関の乱れの把握がおくれたため、休業の通知が伝わらないまま一部の生徒が登校した学校がございました。
 都教育委員会は、今回の事例を踏まえ、学校長が必要な時期に的確な判断を行うために必要な情報とはどのようなものかを、具体的に各学校に示してまいります。
 また、連絡体制については、連絡網やメールサービス、ホームページなど、各校の実情に応じた多様な方法を用いて、迅速かつ確実に児童生徒や保護者へ必要な情報が伝わるよう指導し、学校における危機管理に万全を期してまいります。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君)

 防災技術の普及促進についてのご質問にお答えいたします。
 都内中小企業が高い技術力を発揮して災害対策に資する製品を開発することは、東京の防災力向上につながるとともに、産業を活性化する上でも重要であります。
 このため、都は、来年度より、先進的防災技術実用化支援事業を開始し、新規性の高い防災技術の製品化に取り組む都内中小企業を支援いたします。
 中小企業振興公社に十二億円の基金を創設し、試作品を実用化するための実証実験や改良に要する経費の三分の二について、一千万円を限度に助成を行います。また、実用化後は展示会出展経費を助成するとともに、製品を率先して導入するユーザーの負担軽減も図ります。
 こうした取り組みにより、中小企業によるすぐれた製品の開発と普及を促し、災害に強い都市の実現につなげてまいります。