2015.03.13:平成27年予算特別委員会(第3号) 本文
「五年目を迎えた東日本大震災の被災者支援」

 次に、東日本大震災の被災者支援について伺います。
 東日本大震災の復興への道のりも、はや五年目を迎えました。ここに改めて、震災でとうとい命を失われた皆様に深甚なる哀悼の意を表すとともに、いまだ行方がわからない方々が、一日も早くご家族のもとに帰れますことを心からお祈り申し上げます。
 東日本大震災と並ぶ甚大な被害をもたらした阪神・淡路大震災の復興の道のりは、ことしで二十一年目。しかしながら、神戸市の復興市街地再開発事業の終了予定はこの先の平成二十九年度内、つまり発災からほぼ四半世紀もの時間を必要としているのです。
 阪神・淡路での応急仮設住宅は、発災後五年で完全に解消しました。その一方で、東日本大震災では、発災後丸四年が経過する今年度末見込みでも、災害公営住宅は計画の三分の一しか完成していません。被災した規模も原因も異なるため、単純な比較はできませんが、阪神・淡路の復興より、東日本大震災の復興の方が時間がかかっているという印象を受けます。
 東日本大震災で被災されている方々が、一日でも早くご自身のお住まいに戻り、そこでお仕事ができるよう、東京都は手を緩めることなく全力で支援すべきと考えます。被災者の皆さんがふるさとに戻るためには、そこに住居と就労の両方が必要だということを改めて確認しておきたいと思います。
 さて、被災地の復興には三つの段階があるというのが私の考えです。それぞれの段階に応じた支援の方法があります。これをマンパワーの支援、すなわち自治体の職員派遣の面から考えてみたいと思います。
 第一段階は、発災直後、住民の命を守る段階。この段階での支援はスピードとボリュームが最も重視されます。
 東京都からの職員派遣は、発災後一カ月間で延べ七千五百人という、都政史上最大の支援となりました。救出救助活動に加えて、避難所運営や罹災証明の発行などを担当する職員が求められます。したがって、東京都からは、警察、消防職員、医療職員に加え、一般行政職員を数多く派遣してきました。私自身、あちこちの被災地で数多くの東京都職員の活躍を目にすることができ、大変誇らしく思ったものです。
 第二段階は、瓦れきを片づけ、ライフラインを復旧させる段階。この段階での支援は、まちづくりの計画策定などに従事する、主に技術職員の派遣が求められます。
 東日本大震災でライフラインがある程度復旧したのは発災から半年後。この間、東京都は延べ二万六千人の職員を派遣しましたが、都庁の日常業務も山積していることから、平成二十四年九月、全国に先駆け、都庁OBなどを数多く任期つき職員として採用し、被災地に派遣しました。最近では、景気回復による雇用環境の改善もあり、任期つき職員の募集人員を確保できないなど、マンパワーに不足が生じているやにも聞いています。
 最後の第三段階は、被災地に住まいと仕事が戻り、被災された住民が力を取り戻し、自立して暮らす段階です。現在は、いわば二・五の段階にあるかと思います。
 そこで、来年度の被災自治体への職員派遣と今後の方針について伺います。
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◯中西総務局長 現在、被災地では、被災者の生活再建に不可欠な住まいの建設や地域経済の再生に向けた取り組みなどが本格化しております。
 復興事業がピークを迎える中、来年度は、災害公営住宅の建設など復興のまちづくりを後押しするため、技術職員の派遣を継続するとともに、経済の再生に資する被災企業支援や雇用創出業務に従事する新たな職員など、総勢で百名近くの職員派遣を行い、被災自治体を人材面から支えてまいります。
 一方、国は、平成二十七年度末には住宅再建が完了しない見通しを示しており、被災自治体も、被災地の復興が完了するまでの支援の継続を求めております。
 都は、国や被災自治体の動向を見きわめながら、今後も手を緩めることなく、被災地の復興を支援してまいります。
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早坂委員 被災者支援とは、突き詰めると自立支援のことです。不幸にして東日本大震災の被害に見舞われた皆さんが、再びご自身たちの力で暮らしていけるよう、そのための支援を行うというものです。
 このことは、東京都からの職員派遣の期間でいえば、それが長ければ長いほどいいかというと、私はむしろ逆だと考えます。被災者支援は自立支援だということを絶えず意識して、東京都は引き続き復興支援に力を入れていただきたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
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