2012.05.28 : 平成24年防災対策特別委員会
「中小企業の事業継続計画の策定支援、製造業防災対策事業」
◯早坂委員
次に、中小企業のBCP、事業継続計画の策定支援について伺います。
東日本大震災では、多くの企業が被災し、その結果、サプライチェーンの寸断などにより、我が国経済に大きな影響を与えました。
東京には高度な技術を持つ中小企業が集積しており、災害によって被害を受けた場合には、より一層大きな影響を与えることは確実です。改めてBCP策定の重要性が認識されます。
東京都は、東日本大震災発生前の平成二十二年度から中小企業のBCP策定支援に取り組んできましたが、策定されたBCPが昨年の東日本大震災の際に具体的にどう役立ったのか、その効果について伺います。
◯前田産業労働局長
BCP策定支援事業につきましては、これまで百十社がこの事業を活用してBCPを策定しております。
昨年の震災においてBCPが有効に機能した事例でございますが、茨城県内に工場を持っております都内製造業者が、地震で工場の天井や壁が崩れる被害を受けたものの、作成したBCPで被害発生時の対応を明確に定めていたことで、震災の十二日後には被災前の八〇%程度の生産を再開することができております。同社によりますと、冷静に被災状況を分析して顧客に連絡することができ、信頼を得るのに効果があったということでございます。
また、同様にBCPを策定しておりました別の企業では、従業員の安否確認や顧客への対応が迅速にできたなど、さまざまな効果があったと伺っております。
◯早坂委員
ありがとうございました。今後もBCPの策定を中小企業に広めていくことが重要ですが、そのBCPを活用して計画どおりに事業継続を実現することがより大切です。
企業によっては、工場などの耐震化などが必要な場合もあり、それには資金やノウハウが不足していると聞きます。
そこで、今年度のBCP策定支援事業と、我が党の提案を受けて事業化された製造業防災対策事業の取り組みについて伺います。
◯前田産業労働局長
地震などの中小企業を取り巻くリスクに迅速かつ的確に対応し、事業の継続を図るために、BCP策定の重要性は増しております。
今年度は、七十五の会社や団体のBCP策定を支援するとともに、新たに区市町村と連携した講座の実施やパンフレットの作成、配布などを通じ、より多くの中小企業への普及に努めてまいります。
また、東日本大震災を踏まえ、今年度から、都のBCP策定支援事業で計画を策定した企業を対象に、その実効性をより高めるため、お話の建築物の耐震化をモデル的に支援することといたしました。
具体的には、BCP策定企業のうち、建築物の補強などを行う十社を選定し、補助率三分の二、一千万円を上限に支援することといたしまして、この事業につきましては、既に五月一日から受け付けを開始しているところでございます。