2010.12.08 : 平成22年第4回定例会
「下水道幹線の再構築」

四十一番(早坂義弘君) 

 次に、下水道幹線の再構築について伺います。
 下水道は都市の活動を地下から支える重要なインフラであり、都民が安全で快適な生活を続けていくためには、下水道の機能をひとときたりともとめることは許されません。明治以来、長い時間をかけてつくり上げてきた区部の下水道管の総延長は一万六千キロに及び、東京からニューヨークまでの直線距離が一万キロだということを考えると、そのボリュームがよくわかります。このうち、規模が大きく、大量の下水を集める幹線は一千キロに及びます。
 万一、下水道幹線に破損が起きると、道路陥没などにより大事故につながるおそれがあるなど、社会に与える影響は甚大です。
 古くに整備された幹線は年数が経過し、損傷が激しいと思われるため、実態を調査して、的確に対応する必要があります。対応に当たっては、単なる補修や老朽化対策に終わらせることなく、耐震性や処理能力をも向上させる再構築を強力に進めていくべきであります。
 再構築の前提となる幹線調査が平成十八年度から本格的に行われています。その調査結果に基づく下水道幹線の状況について伺います。
 下水道幹線の再構築に当たっては、現に大量の下水が流れているところを工事するわけで、大変なことだろうと思います。
 また、下水道幹線は交通量の多い道路の下に設置されており、多くの人や車が行き交う中での工事ゆえに、地域住民の生活に支障を来さないよう、さまざまな工夫が必要であります。
 今後の下水道幹線再構築の取り組みについて伺います。

〔下水道局長松田二郎君登壇〕
◯下水道局長(松田二郎君) 

 下水道幹線の再構築についての二つのご質問にお答えをいたします。
 まず、下水道幹線の調査結果についてでございますが、下水道幹線は、大口径で大量の下水が流れている上、交通量の多い道路の下や地中深くに敷設されているものが多く、再構築に当たっては、新たに取りかえることが極めて困難であります。
 そのため、今ある幹線を長期間にわたって有効に活用しなければならず、幹線の状況を実際に調査し、コンクリートの状態など詳細かつ的確に把握する必要があります。
 しかし、下水の水位が高い、流速が速いなどの理由により、人が幹線の中に入り目視で調査するには困難な場所が多く、部分的な対応にとどまっておりました。
 そこで、無人で安全かつ効率的に調査できる自走式ロボットを新たに開発するなどして、平成十八年度から二十年度までの三カ年で、完成間もない幹線などを除いた約三百七十幹線、約八百五十キロメートルについて調査を実施いたしました。
 調査の結果、表面の劣化や鉄筋の腐食、ひび割れ、破損などの損傷は二百三十幹線、調査延長の二割に当たる約百八十キロメートルの区間で確認することができました。
 次に、幹線の再構築の取り組みについてでございますが、これまでも老朽化の著しい幹線につきましては順次整備を実施してきており、現時点では、敷設年代が古い四十七幹線について、平成三十八年度末までに再構築を完了させることを目標としております。
 今後、再構築に当たっては、このたびの調査で判明した損傷の程度や耐震化の必要性などを踏まえ、整備の優先度を決めて取り組んでまいります。
 工事の手法は、コストの縮減や工事周辺地への影響を抑制するために、道路を掘削せず、下水道管の内面を内側から補強する更生工法により行うことを基本としております。下水の水位が高く施工が困難な幹線は、ポンプ運転の工夫などにより工事時間帯の下水の水位や流速を低下させ、工事を実施しております。また、こうした工夫が不可能な幹線では、下水を切りかえるための新たな幹線を整備した上で再構築を行うこととしております。
 今後も、計画的かつ効率的な幹線再構築に取り組み、将来にわたり安定的に下水道機能を発揮し、都民生活の安全性と快適性の向上に努めてまいります。