2007.06.20 : 平成19年第2回定例会(第10号) 本文
「外環沿線地権者の生活再建」 

早坂委員 

 外環沿線の地権者の生活再建・救済制度について伺います。
 都内の都市計画道路の総延長は三千二百キロメートルですが、このうち千百キロ、計画の三五%がいまだ着手に至っていません。古いものでは、昭和二十一年に都市計画が定められて以来六十年間も未着手の路線がまだ幾つも残っています。
 都市計画道路の区域内では、一部は緩和されましたが、都市計画法の定めにより、二階建て以下の建物にしか建築許可がおりないなど、さまざまな権利制限がかけられており、地権者の皆さんの将来設計が立ちにくい状況にあります。
 そこで、事業に先駆けて行政に土地を買い取ってもらう先買いの申し出という制度がありますが、実際には財源が担保されていないため、仕組みがあるだけで、これまではほとんど機能していませんでした。
 多くの地権者の皆さんに長年にわたってご迷惑をおかけしているにもかかわらず、その救済がなされていないこと自体、問題ですが、外環においては、国が財源をきちんと確保して生活再建・救済制度を創設し、沿線区市の土地開発公社が地権者からの先買いの申し出にこたえる体制を整えたことは、高く評価できると思います。
 しかしながら、都市計画が地下式に変更された地域では、この先買いの申し出が適用されなくなってしまうようであります。東京都は、国に対しこの制度の継続を働きかけていくべきと考えます。ご見解を伺います。
 一方で、外環沿線の七つの区市のうち、杉並区と狛江市では、この先買いの申し出の仕組みがいまだ現実に機能しておらず、多くの地権者が今日まで救済されないままでいます。杉並と狛江の外環沿線の地権者にとってみれば、自分たちのところにだけ先買いの申し出の窓口すらないのは、どう見てもおかしいわけです。
 国が創設したこの制度を、沿線すべての区市で活用し、さらに機能させることが必要であると考えます。今後の取り組みについて伺います。

◯都市整備局長(只腰憲久君)

 まず、外環の生活再建救済制度についてでございます。
 本制度は、計画の長期化による地権者への救済措置として、都の要望により、平成十四年度に国が創設したものでございます。
 平成十八年度末までに、外環沿線七区市のうち、世田谷区、練馬区、武蔵野市、三鷹市及び調布市の五区市におきまして四十四件、三・八ヘクタールの土地を区市の土地開発公社が買い取っておりまして、本制度は多くの地権者の生活再建に寄与しているものと考えております。
 国に対しましては、事業着手までの間、本制度を存続させ、地権者の申し出に適切に対応するよう求めてまいります。
 次に、制度を導入していない二区市に対しましては、地権者救済の趣旨を踏まえ、区市の土地開発公社に財政的な負担が生じないことなどをよく説明いたしまして、改めて理解と協力を求めてまいります。
 引き続きまして、本制度を活用しながら国や沿線区市と連携を図り、外環の一日も早い完成に向け積極的に取り組んでまいります。