2008.11.13 : 平成20年文教委員会
「公衆浴場(その2)」

早坂委員

 次に、公衆浴場対策について伺います。
 東京における銭湯、公衆浴場業は、公衆衛生の確保とともに、健康の維持と地域におけるコミュニティの場として地域社会にはなくてはならない施設であります。
 しかし、都内の公衆浴場は、利用者の減少、後継者難、施設の老朽化などにより、年間四十軒から五十軒が廃業に追い込まれるなど厳しい経営環境にあります。
 そうした中、最近の原油高により重油を主な燃料としている浴場の経営をさらに圧迫している現状を踏まえ、我が党は、比較的価格変動や環境負荷の少ない都市ガスなどへの転換を推進すべきであると考え、平成二十年度の新規事業として要望し、クリーンエネルギー化推進事業の実現が図られました。
 さらに、都内の公衆浴場は、昭和五十六年の建築基準法改正前に建てられた、いわゆる旧耐震の建築物が六割を占めることから、浴場利用者の安全を確保するための耐震化推進支援事業についても我が党は同様に要望し、新規事業化が図られたところであります。
 そこで、改めてクリーンエネルギー化推進事業と耐震化推進支援事業の概要と利用状況について伺います。

〇清宮消費生活部長

 クリーンエネルギー化推進事業は、ご指摘のとおり、都内公衆浴場の七割以上が重油等を使用しており、原油価格の高騰により公衆浴場の経営がさらに逼迫していることから、原油価格の動向に大きな影響を受けにくい設備への転換を促進するものでございます。
 また、地球温暖化の抑制に寄与する観点からも、創設したものでございます。設備改修に要する経費に対して助成する内容でございまして、申請件数は、現在五十五件に達しており、予算規模六十件に迫る勢いでございます。
 この申請状況からも、都内の公衆浴場が異常な燃料価格の高騰に苦しみ、一刻も早く比較的価格変動の少ない都市ガス等への転換を進めてきたことが推察され、この制度が浴場経営の安定化に寄与していると考えています。
 一方、耐震化促進支援事業についてですが、公衆浴場が不特定多数の都民が利用される施設であるため、老朽化等が見られる公衆浴場の震災対策への取り組みを支援するため新たに開始した制度でございます。
 申請件数は、現在二十件でございますが、公衆浴場経営者の方に、耐震の必要性やこの事業への理解をさらに深めていただくように、都としては公衆浴場組合と連携しながら事業の普及啓発に努めてまいります。

早坂委員

 クリーンエネルギー化推進事業は、燃料高騰の中、経営の安定化に寄与する時宜にかなった事業であります。
 また、耐震化促進支援事業は、公衆浴場経営者の理解がより一層得られるよう、事業の普及啓発に努め、利用者の安全を確保するため、公衆浴場の耐震化を推進してほしいと思います。
 次に、健康増進型公衆浴場改築支援事業について伺います。
 この事業は、公衆浴場をミニデイサービスや健康推進事業などが実施できる施設に転換する場合に、東京都が経費の一部を補助するものであります。
 これは我が党がその実現を強く要望し、平成十七年度に事業化されたものです。公衆浴場を単に入浴する人にとって快適な場とするだけでなく、住民の健康増進や介護予防という観点から、地域の方々に活用されることが期待されています。
 そこで、平成十七年度以降の実績と、この事業を推進するに当たっての課題について伺います。

〇清宮消費生活部長

 健康増進型公衆浴場改築支援事業は、平成十七年度にスタートしたものでございますが、まずその実績でございますが、平成十七年度以来現在まで九件、総額で約三億三千万円の補助を行ってきました。
 次に、事業を推進するに当たっての課題についてでございますが、公衆浴場がこの事業を利用する場合は、将来を見据えた資金調達や大幅な改築に伴う長期間の休業による生活設計、そういったことにつきまして慎重に検討した上で決断することとなります。
 特に公衆浴場の改築、つまり建てかえをする場合には莫大な資金を要することから、建築費や補助額や自己資金や融資額、そういったものについて検討することとなりますが、浴場業界からは、最近建築費が上昇し、改築するのにちゅうちょしてしまうという声も聞こえているところです。
 この事業の実績から建築費についても調べてみますと、平成十八年度二億円を少し超えた額であったものが、ことしは三億円に近い額になってございまして、公衆浴場経営者の負担が重くなっているという現状が明らかになっています。
 今後、これらの課題の解決に向けて、公衆浴場組合と緊密な連携を図りながら、なお一層の施策の充実に努めてまいります。

早坂委員

 健康増進型公衆浴場改築支援事業の利用には莫大な費用がかかることなどから、事業の決断には慎重にならざるを得ないようであります。
 ところで、先日新聞に、武蔵野市では銭湯の脱衣場を利用して、お年寄りを対象にした健康教室を開催したところ、年間延べ一万五千人に利用され、お年寄りは体の柔軟性が高まり、元気になった様子が紹介されていました。
 また、豊島区では十六カ所の公衆浴場で同様に健康教室が実施されているとのことであります。
 こうしたことから、東京都の支援事業についても相当のニーズがあるのではないかと思われます。
 本事業がより多く利用されるよう銭湯ファンの一人として期待するとともに、今後も足しげく子どもを連れて銭湯に通いたいと思います。