2010.03.17 :平成22年厚生委員会
「高齢者介護」
◯早坂委員
続いて、高齢者福祉について伺います。
介護保険制度は、在宅重視を標榜し、高齢者の尊厳を支えるケアを基本理念としています。しかし、現実はそれと反し、特別養護老人ホームの施設入所希望者が増加し続けています。真に施設入所を必要とする高齢者の方々には特養の整備に努めるべきでありますが、一方で、たとえ介護が必要になったとしても、可能な限り在宅においてこれまでの生活を維持継続できるようにする施策についても同時に進めるべきであります。
そこで、在宅生活を支える介護サービスについて、平成二十二年度予算案に関連し、何点か伺います。
まず初めに、ショートステイは、在宅サービスの中でも都民のニーズが高く、心身の状況や家族の冠婚葬祭などの場面で、その負担軽減を図るために一時的に利用するものであります。
しかしながら、都内のショートステイの定員は四千五百人程度であり、利用する場合には三カ月前から予約しなければならず、利用者のニーズにこたえ切れていません。
そこで、平成二十二年度予算案の新規事業であるショートステイ整備費補助について伺います。
〇狩野高齢社会対策部長
ショートステイは、高齢者が可能な限り居宅において生活することができるよう、在宅での介護負担の軽減を図るものでございます。
都は、これまで特別養護老人ホームにショートステイを併設する場合に、一定員当たり四百三十万円の補助を行ってきました。
今後、ショートステイの整備について民間事業者の参入を促し、単独型ショートステイや有料老人ホーム等に併設するショートステイに対しても整備費を補助することにより、さらなる整備促進に努めてまいります。
◯早坂委員
私の地元の杉並区では、区有地を民間事業者に貸し付け、単独型のショートステイや、グループホームにショートステイを併設した拠点を整備しているようであります。
従来、民間事業者が施設整備をする場合には、公的な補助金が投入されていませんでした。今回、民間事業者にも施設整備費を補助することにより、整備促進につながると考えます。
そこで、今回の補助の仕組みや、平成二十二年度予算案の内容について伺います。
〇狩野高齢社会対策部長
平成二十二年度予算案におきましては、単独型ショートステイや有料老人ホーム等に併設するショートステイ百二十六床を整備することとしており、定員当たり三百八十七万円を補助することとしております。
都では、ショートステイの運営事業者がみずから整備する場合だけではなく、土地所有者がみずから建物を整備し、運営事業者に賃貸する、いわゆるオーナー型の整備につきましても、都独自に補助をすることとしております。
◯早坂委員
次に、訪問看護ステーションについて伺います。 ショートステイと同様に、在宅の要介護高齢者の療養生活を支える上で欠かせないサービスが訪問看護です。訪問看護の利用は着実にふえていますが、都内の訪問看護ステーションには小規模な事業者が多く、人材確保も困難なため、安定的な事業運営が難しい側面があります。
そこで、訪問看護ステーションの安定的な運営のために、東京都はこれまでどのような支援をしてきたのか伺います。
〇狩野高齢社会対策部長
訪問看護ステーションを安定的に運営するためには、看護職員を確保、育成する管理者の役割が大変重要と考えております。
そこで、都は、管理者のマネジメント能力向上のため、管理者研修を実施しております。平成二十年度は、新人の管理者等を対象にしまして、リーダーシップ論など、管理者として必要な知識を付与するファーストステップ研修を実施し、二十一年度は、それに加えまして、中堅管理者等を対象に労務、人事管理などを取り入れたセカンドステップ研修を実施したところでございます。
◯早坂委員
訪問看護の充実のためには、解決すべき課題が幾つもあります。 例えば、都内の訪問看護ステーションの数は、ここ数年、横ばい傾向にあります。事業所の数がふえないことでサービス提供エリアも広がらず、結果として、在宅で療養生活を送る要介護高齢者への対応が困難になろうことがその一例であります。
東京都の平成二十二年度新規事業である訪問介護ステーションサテライト事業について、その内容について伺います。
〇狩野高齢社会対策部長
訪問看護ステーションと一体的に運営されるサテライトは、看護職員一人でも設置可能でございまして、事業者の設置負担が軽減されるという利点がございます。このサテライトの設置によりましてサービス提供エリアが広がることや、看護職員の移動の距離が短くなり、効率的なサービス提供が可能になるなどのメリットがあると考えております。この訪問看護ステーションサテライト推進事業は、サテライトを設置するに当たって必要となる初度経費などの一部を補助することにより、事業者を支援していくものでございます。
◯早坂委員
サテライトは看護職員一人でも設置可能とのことであり、看護職員の確保が特に難しい現在、サービスの充実につながると思います。
また、サテライト設置により移動距離が短くなれば、忙しい看護職員の負担の軽減にもつながります。ぜひこの新規事業を着実に実施し、訪問介護事業の充実につなげていただくようお願いいたします。
さて、高齢化が進む東京において、住みなれた地域で暮らし続けたいという高齢者の希望を実現し、老後の安心を確保するためには、その基本となるのは住まいであります。将来のひとり暮らしに早目に備えたり、介護が必要になっても自分らしく暮らせるよう、施設ではなく、ケアやサービスのついた高齢者向けの住まいが求められています。
こうした中、東京都では、国に先駆け、今年度より医療介護連携型高齢者専用賃貸住宅モデル事業を実施していますが、その内容について伺います。
〇狩野高齢社会対策部長
お話のモデル事業は、安否確認や見守り等のサービスを提供する高齢者専用賃貸住宅に介護サービス事業所と診療所などを併設して整備した場合、その費用の一部を補助するものでございます。各サービス事業者が連携することによりまして、高齢者が医療や介護を必要となっても安心して住み続けられる住まいの整備を促進していくものでございます。来年度からは、同じ建物に併設する場合のみならず、高齢者住宅の近隣に医療や介護の事業所を設置する場合なども補助対象とし、事業の拡大を図ってまいります。