2012.05.28 : 平成24年防災対策特別委員会
「病院の総合的耐震化、特定緊急輸送道路沿道建築物と鉄道沿線建築物の耐震化、都立公園の防災機能の強化」

早坂委員 

 東京都は、現在、病院の耐震化事業を進めています。このうち、東京都指定二次救急医療機関、計二百五十三施設に関しては、特に補助率をかさ上げして病院の耐震化を図ろうとしています。
 ところで、都庁のすぐそばに東京医科大学病院があります。こちらも東京都指定二次救急医療機関に指定されています。前をお通りになればわかりますが、病院とは各階で渡り廊下により結ばれた教授棟が病院に併置されています。この教授棟は病院ではありませんから、耐震化の補助金はありません。当然、病院の耐震化は進みますが、教授棟の耐震化は後回しになります。しかし、仮に大地震によってこの教授棟が倒壊したら、隣の大学病院の診察は一体だれが行うのでしょうか。
 もう一つ例を挙げます。杉並区のJR阿佐ケ谷駅から徒歩五分のところに河北総合病院があります。こちらも東京都指定二次救急医療機関に指定されています。ここの立地は木造住宅密集地域の中にあり、車が一台通ると自転車とすれ違うのが怖くなるくらいに狭い一方通行の道路の先に病院はあります。そこで、仮に大地震によって病院までの道路に面した古い家屋が倒壊し、道路をふさいでしまったら、一体どうやって病院にたどり着けるのでしょうか。
 とかく私たちは、ある政策目標、今回の例でいえば病院の耐震化という大きな目標があると、平成何年何月現在何%達成という、その部分の数値にのみ目が行きがちです。しかしながら、一つ一つの事情を丁寧に観察し、政策の効果を確認しなければ、その目標は絵にかいたもちになりかねません。
 病院の建物はしっかり残ったけれど、そこで患者さんの治療はできなかったということでは、笑い話にもなりません。政策を総合的に考えることが重要だと指摘しておきたいと思います。
 ところで、東京都は、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に力を入れています。備蓄で命は守れない、耐震化こそが命を守るというのが私の主張ですから、大いに進めていただきたいと思います。
 そこで、私は第二弾の施策を提案したいと思います。それは鉄道沿線建築物の耐震化です。
 都内で電車に乗ってみると、線路が平面を通っているところ、掘り割りになっているところ、高架になっているところといろいろあります。そこにもし沿線の建物が倒壊してきたら、一体どうなるでしょうか。たまたまそこを電車が通過していた場合に、乗客に甚大な被害が発生することは想像にかたくありません。
 また、幸いにして電車への直撃こそ逃れたとしても、例えば掘り割りの部分や高架の部分の倒壊建物の除去には大変な労力がかかると想像されます。
 個々の鉄道事業者がこういった想定をしているかどうかわかりませんが、仮に想定したとしても、鉄道事業者の立場で沿線建物の所有者に耐震化を求めることは不可能です。できることは、せいぜい倒壊してしまった建物の除去ぐらいだろうと思います。
 この鉄道沿線建築物の耐震化については、本日は問題提起にとどめます。
 では、都立公園の防災機能の向上について伺います。
 今回の被害想定においては、避難者数は最大三百四十万人と想定されています。都市においては、都立公園など震災時の大規模避難場所の確保とその防災機能の充実が必要です。
 そこで、これまで都立公園の防災機能の向上に向けてどのような整備を進めてきたのか、また、さらなる防災機能の強化に向けて今後どのように取り組んでいくのか伺います。

◯村尾東京都技監

 都立公園は、潤いある都市環境を創出し、都民に憩いや安らぎを与えるとともに、震災時には避難及び防災活動の拠点として重要な役割を担っております。
 都は、都立公園八十公園のうち六十公園を避難場所や応急復旧活動の拠点などに位置づけており、これまで緊急車両の進入路の確保や防災トイレなどの整備を計画的に進めてまいりました。
 今後、震災時には、災害情報を迅速に収集し、避難してきた人たちに適切に提供するため、無線装置や放送設備などを拡充し、防災機能のレベルアップに努めてまいります。
 また、リーディングプロジェクトとして、舎人公園において応急復旧活動などの電源となる非常用発電設備を設置し、周辺の生活関連施設にも電力を供給することとしており、四月にはそのための調査に着手いたしました。
 引き続き、都立公園における防災機能の強化に努め、高度防災都市の構築に全力で取り組んでまいります。

早坂委員

 ご答弁のあった六十の都立公園のうち、二十六公園が救助活動などの拠点であり、うち二十五公園が平成二十五年度までに整備が完了するなど、着実に整備が進んでいると承知しています。引き続き、都立公園の防災機能の強化に向けて取り組みを進めるようお願いをいたします。
 もう一つ、つけ加えるならば、震災時の都立公園の役割を改めて都民に周知する必要があると考えます。
 というのも、ヘリコプターの離着陸場やトラックの集積場としての役割を担うエリアもあり、すべての都立公園が住民の避難場所になるわけではないからです。住民の避難場所として予定していないエリアには、例えば、ここはヘリコプターの離着陸予定地です、住民の避難はできないエリアですと、明確にわかるような表示をしてはいかがでしょうか。提案をいたします。